19.見えない力に操られない生き方【理不尽な世界の攻略法 ~51歳シングルマザーの覚醒ストーリー~】

理不尽な世界の攻略法 ~51歳シングルマザーの覚醒ストーリー~

第4章:意識のシフト

19. 見えない力に操られない生き方

 私はこれまで、いろんなものに振り回されて生きてきた。

 仕事の都合、周りの目、世間の常識、そして、どうしようもない運命みたいなもの。
 「シングルマザーだから仕方ない」
 「世の中なんて理不尽なもの」
 「自分ではどうしようもないこともある」

 そうやって、ずっと「見えない力」に操られているような気がしていた。

 でも、最近気づいたのだ。

 「私は、そんな力に振り回されなくてもいいんじゃないか?」と。

 ***

 児童相談所の面談の日。

 前回の結菜との面会が終わってから、私はずっと心を整えることに集中していた。
 部屋を片付けて、エネルギーの流れを変えて、意識の持ち方を見直した。

 「私は被害者ではない」

 「こうなると決めれば、そうなる」

 そう思うだけで、不安は少しずつ消えていった。

 でも、それでも児童相談所の建物の前に立つと、心臓が少しだけドキドキした。

 この場所に来るたびに、「結菜を奪われた日」のことを思い出す。
 あの日の私は、まるで自分が犯罪者みたいに扱われ、言い訳すら許されないような気持ちだった。
 何を言っても「母親失格」と思われているようで、ただただ悔しくて、どうにもならなかった。

 でも、今日は違う。

 「私は、自分の人生の主導権を握る」

 そう決めて、この場に来たのだから。

 私は一度深呼吸をして、ドアを開けた。

 ***

 担当の職員さんが迎えてくれた。

 「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

 静かな会議室に案内され、私は椅子に座った。
 相手が何を話すのか、私は静かに待つことにした。

 「今日は、結菜さんの今後についてお話したいと思います」

 「はい」

 私は落ち着いてうなずく。

 「最近の結菜さんの様子ですが、少しずつ落ち着いてきています」

 私はホッとした。

 「ただ、やはりお母さんと離れていることで、不安もあるようです」

 私はじっと、職員さんの目を見た。

 「お母さんとの時間を増やすことで、結菜さんの気持ちも安定するのではないかと考えています」

 私はその言葉を聞いて、確信した。

 「やっぱり、流れが変わってきた」

 今までは、「母親が反省し、生活環境を改善しなければならない」というスタンスだった。
 でも、今は違う。

 「お母さんとの時間を増やす」――つまり、私と結菜が一緒にいる未来へ向かっているのだ。

 私は、この流れを引き寄せたんだ。

 「ありがとうございます」

 私は落ち着いた声でそう答えた。

 「では、次回から面会の頻度を増やす方向で進めてもよろしいでしょうか?」

 「はい、お願いします」

 私は、かつての自分だったら、「こんな話、もっと早くしてくれればよかったのに!」と憤っていたかもしれない。
 でも、今は違う。

 私は「被害者」ではない。
 だから、何かに操られることもない。
 私は私の人生を選び、決めていく。

 「では、次回の日程を調整しましょう」

 そう言われた瞬間、スマホの画面が光った。

 ちらっと時計を見ると、「11:11」

 私は思わず、心の中で笑ってしまった。

 「うん、やっぱり私は、自分の現実を創ってる」

 これから先も、見えない何かに振り回されることは、もうない。

 私は、私の人生を生きる。
 そう、決めたのだから。